出張でモスクワに行ってきた
2011-05-31


通常モスクワ出張は往復アエロフロートAeroflotに搭乗する。アエロフロートといえば、ソ連時代はソ連製のイリューシンIL-62型という後尾にジェットエンジンを4発搭載した航空機を東京・モスクワ間で飛ばし、料金は安いが機内は寒いわサービスが悪いわで散々の航空会社だったことを記憶する往年のヨーロッパ旅行者の読者もいるだろう。ソ連崩壊後もアエロフロートの経営権を取得した政商ベレゾフスキーが、広範な国際線網から上がる外貨収入を利用してアエロフロートを私的な蓄財の手段として利用していたので、会社に資金が残らずソ連時代より機材の状態もサービスも悪化した時期があった。しかし、今はそんなことはない。2000年にベレゾフスキーがプーチン大統領(当時)と争いイギリスに亡命した後はアエロフロートの経営は国に移り、機材もボーイングやエアバスになり、サービスも格段に向上した。例によって話が回りくどくなったが、ロシア出張にもっぱらアエロフロートを利用するようになったのはこんな事情からだ。

ところが今回は大韓航空に搭乗して仁川(インチョン)国際空港乗り換えでモスクワ往復をした。東日本大震災の影響で日本人があまり海外に行かなくなり、外国人が福島原発の放射能を恐れて日本に来なくなったので、日本路線の国際線の搭乗率は大幅に悪化している。ソ連時代なら国威にかけても減便などしなかっただろうアエロフロートも、今は「もうからない」となると東京・モスクワ線を減便するようになっている。大韓航空はモスクワ線の減便をせず毎日ソウル・モスクワ間を飛んでいるので出張日を気にせず出張ができる。こんなところでも震災後に加速した日本の萎縮の影響を感じさせられる。

大韓航空には久しぶりに搭乗したが、ずいぶん日本の航空会社にをまねたサービスを提供するだなぁと思った。日本の航空会社のサービスと一番似ている部分が、アテンダント(ほとんどが女性)が頭上の荷物入れに荷物を入れてくれるところだ。私は一見か弱そうなアテンダントに10キロ以上ある持ち込み手荷物をヤッと頭上に持ち上げてもらうのはいやなのでいつも自分で荷物を放り込んでいる。日本や韓国の男性乗客は何でそれが気にならないのだろう?また航空会社の方でもなんで「手荷物を押し込むのを手伝う」程度にサービスを制限しないのだろう。アジアの航空会社の中でも中国や東南アジアの航空会社ではこういうことはない。

さて2004年以来久しぶりのモスクワは到着直後に夕立のような雨が降った以外は、出張中は毎日が快晴で日中の最高気温も20度ちょっとと極めて快適だった。到着したシェレメチェボ空港は前回出張時とは様変わりで、垢ぬけしたデザインの空港建屋に生まれ変わっていた。変わっていないのはロシアに入国するための手続きの煩瑣なことだ。ビザが必要なのはまあわかるとして、ソ連側に受け入れ機関があってそこが身請けするのでビザを発給するソ連時代の名残で、いまだにロシアに行くには先方に受け入れ機関が存在することが必要だ。ソ連時代だとその受け入れ機関が入国後の行動にまで関与していたが、今そんなことはない。あの受け入れ機関はどういう機能があるのだろう?入国しホテルにチェックインすると72時間以上滞在する場合は滞在許可を取得しなければならない。ヤレヤレ。このあたり2週間程度の滞在にはビザが不要の中国の方がだいぶ実務的だ。

モスクワの交通事情は前にもまして悪化しており、わずか29kmしか離れていないシェレメチェボ空港からモスクワ市内まで1時間くらいかかった。現地の人にそのことを言ったらYou are lucky「運が良かったねぇ」と言われた。最近は交通渋滞のせいで2時間くらいかかることもザラだという。

さてモスクワ滞在中に会った人に「戦場のナージャ」
[URL]
に関するロシアでの評判を聞いたところ、意外な反応が返ってきた。


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