量的金融緩和論の終り(その2)
2016-12-30


設問3に対しては、金利が"0"近辺にあるので通常の金融政策が効かないのは当たり前だと書いている。この部分は浜田にとってよほどショックだったのだろう。浜田は日経新聞のインタービューで「金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる」といっている。金利を下げても、企業は投資ではなく借金返済に回してしまうので、金融機関のB/Sには貸せないお金が貯まるばかりだとリチャード・クーが10年近く前から指摘してきたことに今頃気がついているわけだ。

設問4に対して、シムズは財政政策はインフレが起きるようなものでなければならない、言い換えれば将来のインフレを利用して返済できる範囲のものでなければならない、と書いており、浜田も「そうだそうだ」という立場だが、「シムズさん(浜田さん)、そんなにうまく行きませんよ」というのが率直な私の印象だ。山梨県の山奥の寒村に大掛かりなトンネルを掘ることの経済効果などほとんど見込まれないのは自明だが、経済効果を産むか産まないかはやってみなければわからない財政支出も多々ある。「ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない」というこれまたアタリマエな内容のことしか言えないのなら、「浜田先生そろそろ内閣官房参与なんていって日本政府のお金をもらうのはやめにしましょうよ」というのが率直な気持ちだ。

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